酵素は栄養と健康を結ぶ“仲人”
藤本大三郎 著 文庫サイズ・48頁
まえがき ―― ガン・内臓病・美容まで幅広い効用
「酵素」という言葉を聞いたとき、洗剤や歯みがき粉を思い浮かべる人はきっと多いことでしょう。
洗濯物のガンコな汚れも酵素を加えた洗剤だときれいに落ちるといわれ、また、酵素入りの歯みがき粉は歯垢を分解する、と宣伝されました。
ほかにも、化粧品や薬品など、われわれの暮らしをちょっと見回しただけでも「酵素入り」の製品は数多くあります。
酵素というとなにか無機質的なイメージがありますが、実は、われわれ生物の体の中でも大活躍しているのです。
食べ物の消化を助けたり、分子のやり取りをしたりして細胞の分解・合成を促すなど、さまざまな化学反応に介在しています。
生物は(人はもちろん)酵素なしでは生きていられない、と申して差し支えありません。
生物にとって、酵素はなくてはならない「物質」なのです。
ところで、酵素の存在が化学的に証明されてから二〇〇年あまり経ちます。
そして人体の中だけでも数千種もの酵素がわかっていて、それぞれが特有の反応を延々と繰り返しています。
また、酵素は人間だけでなく、哺乳類から昆虫・微生物、野菜や果物などの植物まで、高等下等を問わず、あらゆる生命体の中に存在して(作られて)おり、生命活動の重要な役割を司っています。
しかしながら、酵素と洗剤とは結びつけられても、酵素とわれわれの健康との因果関係をはっきりイメージすることはむずかしいでしょう。
化学的に言ってしまえば、酵素とは『生物体内でおこる種々の化学反応の「触媒作用」をする、たんぱく質からできている物質』ということ……、だから、酵素が順調に働けば体内のさまざまな反応が迅速に行なわれ、新陳代謝が活発化されます。
栄養不良など食生活の乱れている人では「酵素パワー」がうまく発揮できていません。
この小冊子では、酵素をだれにでも分かりやすく解説したいと思い、専門的な学術用語はなるだけ少なくしています。
それでも多少わかりづらいところもあるでしょう。
そのときは細部にこだわらずに全体を読みすすめていただければと思います。
酵素とは一体ナニモノなのか、健康とどのようなつながりがあるのか、本書を読むことで酵素の理解に役立ち、またひいては読者の健康維持に少しでも役立てていただければと願っています。
目 次 ――
第1章 酵素の正体教えます
・酵素はたんぱく質性物質
・酵素の仕事は触媒作用
・人は酵素なくして生きられない
・緑を守る縁の下の力持ち
・酵素が働く快適環境とは
〈コラム〉酵素の「酵」は、発酵の意
第2章 健康維持に酵素パワー
・胃腸病と酵素の深い関係
・酒を飲むと肝臓の酵素が活躍する
・ガンの原因・活性酸素を分解する
・不思議な殺菌効果
・若者の疲労回復に酵素パワー
第3章 酵素と美容・ダイエット
・うるおいある肌は酵素がいっぱい
・酵素でダイエット
〈コラム〉香りと酵素
第4章 酵素のこんな利用法
・台所にも酵素が役立つ
・酵素のお風呂でお肌すっきり
・酵素飲料ってなに?
〈コラム〉ホタルの光は酵素の力
【ハート出版ふるさと文庫】