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「ホップズは、古代に起源をもつ伝統が動揺しだし、かつ近代的自然科学の伝統がいまだ形成され固定化されていなかった、そういう実り豊かな束の間の時期に哲学的思索を行なった。この束の間の時期は、それ以後の全時代にとって決定的に重要なものとなった。まさしくこの時期に、政治学のより新しい展開を全面的に支える土台となる基盤が据えられたのであり、近代的思惟は、この基盤からみてはじめて根源的に理解されうるのである……」
合理主義・個人主義・自由主義を、自覚的かつ体系的に展開した最初の政治思想家トマス・ホップズ。本書は、若きホップズの〈動機〉を掘り起しながら、『リヴァイアサン』にいたるその思想の生成を丹念に辿り、〈近代性〉の最下・最深の層にある近代文明の無意識に迫った透徹の書である。ここには、〈近代性〉の危機そのものとしての全体主義によって亡命を余儀なくされた著者の、〈近代性〉批判と思想史のアプローチのすべてが、萌芽的な形で凝縮されている。信頼に足るホップズ研究書であり、またドイツからアメリカに渡り、「シュトラウス学派」を形成した著者の思想を理解するためにも、恰好の書となろう。
序言
序文
I 序論
II 道徳的基礎
III アリストテレス主義
IV 貴族の徳
V 国家と宗教
VI 歴史
VII 新しい道徳
VIII 新しい政治学
付 カール・シュミット『政治的なものの概念』への注解
注
訳者あとがき
索引
合理主義・個人主義・自由主義を、自覚的かつ体系的に展開した最初の政治思想家トマス・ホッブズ。本書は、若きホッブズの“動機”を掘り起しながら、『リヴァイアサン』にいたるその思想の生成を丹念に辿り、“近代性”の最下・最深の層にある近代文明の無意識に迫った透徹の書である。ここには、“近代性”の危機そのものとしての全体主義によって亡命を余儀なくされた著者の、“近代性”批判と思想史のアプローチのすべてが、萠芽的な形で凝縮されている。信頼に足るホッブズ研究書であり、またドイツからアメリカに渡り、「シュトラウス学派」を形成した著者の思想を理解するためにも、恰好の書となろう。
1 序論/2 道徳的基礎/3 アリストテレス主義/4 貴族の徳/5 国家と宗教/6 歴史/7 新しい道徳/8 新しい政治学/付 カール・シュミット『政治的なものの概念』への注解
シュトラウス,レオ(Strauss,Leo)
1899-1973。1899年ドイツのヘッセン州キルヒハイン生れ、正統派ユダヤ教徒として育てられる。1921年、ヤーコビの認識論に関する研究でハンブルク大学より学位を授与される。1922年フライブルク大学に赴き、フッサールとハイデガーから大きな思想的影響をうけた。その後ベルリンのユダヤ主義研究所に勤め、スピノザやメンデルスゾーンの研究に従事、コジェーヴ、レーヴィット、ガダマーらと交流する。1932年イギリスに渡りホッブズ研究に取り組んだシュトラウスは、1938年以降アメリカに定住、1949年までニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ、1968年までシカゴ大学で政治哲学を講じた。現代の政治哲学者のなかで唯一「学派」(the Straussians)を形成した人物であり、その人脈はアカデミズムをこえる広がりがある
添谷育志(ソエヤヤスユキ)
1947年栃木県に生れる。東北大学法学部卒業。明治学院大学名誉教授
谷喬夫(タニタカオ)
1947年群馬県に生れる。中央大学法学部卒業。新潟大学名誉教授
飯島昇藏(イイジマショウゾウ)
1951年千葉県に生れる。Ph.D.(政治学、シカゴ大学)。元早稲田大学政治経済学部教授。2017年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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